伝道師になろう 第4弾
9月18日に開催してきました
伝道師になろう第4弾
自分の好きなことについて、どうして好きなのかを伝えて、その面白さを伝道しようじゃないか!というトークイベントです。
いつもよりも事前申し込み数が少なく、「開催頻度高すぎたかなあ」「時間が長すぎたかなあ」「参加費高すぎたかなあ」とヘコんでいたのですが、前日になって急に応募数が増え、結局38人もの方に参加していただくことができました!毎回着実に参加者数が増えています。嬉しい限りだ。
到着した方から順番に「自己紹介シール」を書いてもらいました。名前ではなく、趣味や特技、すきなことを書いて、見えるところに貼るというやつ。
みなさん、意外とさっさと書いて貼っている。好きなものを聞かれてパッと答えるって、意外とできない人多いのにすごい。
今回はオープニングトークに一番力を入れました。イントロダクション。
伝道する側の心構えは散々発信してきたのですが、「伝道される側」については何も言及してこなかったなあと反省したのです。参加者の比率でいえば、聞くだけの人の方が多いのに……。(数学カフェさんにアドバイスいただいてやっと気づいた。本当にありがとうございます)
当日、全編を通して、コンセプトのようにごり押しした言葉があります。
知識って身に付けると世界の感動が増強される究極のAR
— 稲見昌彦 Masahiko Inami (@drinami) 2010年11月6日
知識を身につけると、世界の見え方が変わるよね!という言葉ですが、ツイートを見たときに「まさに!!」と思ったのでじゃんじゃん引用させていただきました。稲見先生、ありがとうございます。勝手にすみません。
参加してくれた人たちには新しい知識や世界観に触れて、今までとはちがった世界を見て欲しい。っていうか自分が見たい。そんな思いを込めまくったのが今回の伝道師です。
そして、今回初めてでしたが、10秒自己紹介もやりました!
「個人を特定するのは名前ではなく生き方だ」という名言を反映して「名前は最後にいうこと」というルールを設けました。(先ほど紹介した自己紹介シールもこの名言に基づいています。)その人がどんな人かを知るためには、名前なんかよりも何が好きで、何を大切にしているのかっていうことの方が大切で、大切なことは先に言うものだよね!というロジック。
まずは私がお手本を、と思って自己紹介を始めましたが
「伝道師になろうの主催者をしています、狡猾な狐です......あっ」
と、散々アピールしたルールを主催が一番最初に破ってしまうなど。
時間は3秒も経過していませんでしたが、「名前は最後に」というルールは破れないので、そこで打ち切りにして次の方へ。主催がこんなんですいませんほんと。
自己紹介してもらって思ったのは、やはりここに集まった方々は何か好きなものが明確にあるなあということ。あと幅が広い。いろんな幅です。高2もいれば定年退職された方もいる、数学好き、模様好き、学校の先生、女装家、愛知から来た方、静岡から来た方……。普通に生活していたら決して出会うことのできないような人たちが集まっていて、嬉しくてニヤニヤしながら聞いていました。
さて、今回の伝道師は、いつもどおり発表もありましたが、それだけではありませんでした。新しい企画にチャレンジしたのです!
「おすすめの本の展示」&「伝道したいものの展示」
一人何冊でも OK!その本を愛する気持ちをポップにぶつけてください!ということで募集したところ、想定よりたくさんの本が集まりました!!これは本当に嬉しかった
▲まるで本屋さん!
ちゃんと集まるか心配で一人で5冊も書いてしまったけれど、杞憂でした。奥の方に見えるパズルや首輪が「伝道したいものの展示」コーナーです。どのポップも熱かった!読みたいなと思える本が多すぎて。
短い休憩時間の間もここのテーブルの周りはひとだかりになっていて、展示したのにスルー……みたいなことにも全くなりませんでした。思い切ってやってみてよかった!
と、こんなかんじで、発表も休憩も充実した時間が過ごせる場所づくりができたのかなあと、思ってます。うへへへへ
いつもの発表の方も、ちゃんと面白かったんですよ!
今回の発表テーマはこんな感じでした
- 数学和歌を詠もう キグロ&狡猾な狐
- 2人の萩原 大仏
- dp/dtって誰だ? Kuma
- ドット絵の最小にして究極の美学 teigi
- 目指すは全国100回! みく
- 数を数えて遊ぼっ! そくらてす・かおす
- カードゲームについて 草場純(飛び入り)
- ラスタとベクタ 岩淵勇樹@butchi_y
- 生物系の博士課程がガチでポケモンを分類してみた nkjmゆう
数学和歌を詠もう キグロ&狡猾な狐
トップバッターをキグロさんと一緒につとめました!数学と和歌、意外な組み合わせがつくりだす新しい価値をご紹介。ハッシュタグ #数学和歌を詠もう をつけてツイートされた和歌を、和歌の観点、数学の観点から解釈し、三十一文字にこめられた意味と技術を披露。数学的な解釈はキグロさんにお任せ。キグロさん、一緒にやってくれてありがとうございました^^
数学和歌の面白さについてはこちらのまとめをどうぞ
二人の萩原 大仏
女装した状態で近代詩について話す人、今までみたことがないです。萩原朔太郎と萩原恭次郎のお話でした。検閲されたときの伏字「⬛︎⬛︎⬛︎」を敢えて使うことによって、それ自体を表現として利用している、というのが個人的ハイライト。恭次郎が、前衛的な表現を多用して迫ろうとした先には一体何があるんだろう?と惹かれます。他の作品も鑑賞してみたいと思えるような発表でした!
dp/dtって誰だ? Kuma
ファラデーとマクスウェル、二人の科学者の美しい師弟関係のお話。途中で少しだけ抜粋されたドキュメンタリーを見たのですが、あの一瞬だけでかなり感動してしまって、全編見たら一体私の涙腺はどうなってしまうのだろう?と思いました。彼らが主張していた内容を理解するにはまだまだ時間がかかりそうですが、歴史的な背景を知るだけならば私にでもできるなあと気づいたのも収穫でした。
そしてなんと!Kumaさん、イベントレポートのブログを書いてくださいました!ありがとうございます!!
参加者の方の感想を覗いてみたい方はこちらから!
electrodynamics.hatenablog.com
ドット絵の最小にして究極の美学 teigi
私のイチオシ、teigiさんの発表です。第2回では「JR東海のカワイイ自動販売機を鑑賞する」というテーマで、JR東海への愛をぶちまけてくださったteigiさんですが、今回の発表も素晴らしかった!限られた条件の中でいかに美しく、クオリティを高めていくか、という姿勢は和歌にも共通するものがあるなあと思ったり。というか、teigiさん作のドット絵、クオリティーが高くてびっくりしました。身の回りのドット絵に注目してみようと思う発表でした!
目指すは全国100回! みく
性的なことを連想させるアブストですが、実は献血についての発表でした。(なんの発表だと思いますか?と振られたキグロさんがたじたじだった笑)献血には全血献血と成分献血の2種類があるとか、知らないことがたくさんあって感銘を受けた発表です。「おすすめの献血所ベスト3」にはめちゃくちゃ笑いましたww 「趣味献血」って言われたらちょっとギョッとしちゃうけれど、そんな気持ちも解消された、素敵な発表でした。献血行こう!
数を数えて遊ぼっ! そくらてす・かおす
会の性質上、誰にでもわかるようにお願いします、と伝えておいたところ「中学生でもわかるように説明します!」と仰ってましたが、終わる頃には「僕の想定していた中学生はレベルが高かったんです」と仰ってました。笑 連続体仮説についてのお話。私は途中でついていけなくなってしまったのですが、参加者の中には非常に深く刺さった人もいたようです。発表のディープさとお客さんへの刺さり具合はある程度相関関係があるのかも、と勉強になりました
カードゲームについて 草場純
前日に急遽参加が決まったゲーム研究家の草場さん、「趣味は自己言及」というパンチの効いた自己紹介からスタートしました。草場さんはこの分野では日本的な権威で、著書もたくさんある方なのです……すごい。パワーポイントもホワイトボードも使わない発表だったのに引き込まれる話し方も、どうやってたんだろうあれ、魔法かな……。「クク」というカードゲームについて伝道していただきました。単純極まりないルールだけど、とても面白いのだとか。
ラスタとベクタ 岩淵勇樹@butchi_y
画像フォーマットには「ラスタ」と「ベクタ」の2種類があるという話をしていただきました。二大ソフトウェアで例えると、ラスタはPhotoshop、ベクタはIllustratorなのだとか。「ラスタORベクタクイズ」が個人的にめちゃくちゃツボでした。(答え合わせでぶっちさんが「ラスタでしたぁ〜www」って言ってるとこで爆笑してた。)クイズ形式は盛り上がっていいなあという気づきもありました。
生物系の博士課程がガチでポケモンを分類してみた nkjmゆう
ラストの発表は伝道師になろう皆勤のnkjmさん!笑 今回はポケモンの分類をしてもらいました。「ドードーはカビ」「コイルはイカダモ」「イシツブテはバクテリアドメイン」など、名言の数々がここで生まれました。終始笑いの耐えない発表だったし、私はもうイシツブテを見るたんびにバクテリアドメインを思い出さずにはいられないのでしょう……
ちなみにこのnkjmさんも、伝道師になろうの参加レポを書いてくださいました!ありがとうございます!しかも、ポケモンの分類についての記事をアップ予定なのだとか。みなさん、要チェックですよ!!
frasco-shaking-ny.hatenablog.com
発表中は参加者のみなさんに「#伝道師になろう」で実況ツイートをしてもらっていたのですが、なんと、
トレンド入りしました!
うれしい!そのぶん、本物の伝道師の方や、某宗教団体の方のツイートが混ざってしまいましたが、そういう名前だから仕方ないw
さて、これで全ての発表が終わりました。いつもであればこのタイミングで「終わっちゃった……悲しい」という気持ちでいっぱいになるのですが、今回はまだまだ元気です。なぜならこの後に企画タイムを設けたから!
何やっても OK!!の交流タイムを2時間ほど設けました。2時間もあったら多いかなと思っていたのですが、全然そんなことなかった。むしろ足りないくらい。
参加者同士の交流の時間、いつもn次会だけでは足りなくて、名残惜しみながら帰路に着くのがデフォルトなので、すこしでも不完全燃焼感をなくそう!と思ってやってみました。
めちゃ楽しかった
▲皆が皆、一生懸命話してる
カードゲームの発表を受けてひたすらカードゲームをやっていたテーブル、ゼータ関数について、模様について、マクスウェル方程式についてお話しているグループ、本を物色しているひとたち。みんな楽しそうにしていて、この光景を見たとき
あ、これが理想のかたちだ
と冷静に感動しました。すごくすごく嬉しくて感動しているんだけど、本来あるべき姿というか、あまりにも自然だったのでやたらと腑に落ちている状態。参加者の方々によってとても良い空間が構成されていて、ずっとこうしていたいなーと思うなど。
最後に、参加者のみなさんに宿題をだしました。
- 数学和歌を詠んでみる
- 萩原朔太郎を青空文庫で読んで見る
- ファラデーとマクスウェルの美しい師弟関係について深める
- ドット絵をかいてみる
- 献血に行く!
- 無限のことについて、理解を深める
- 「トランプゲーム」「クク」で遊び倒す
- 身の回りの「ラスタ」と「ベクタ」に気をつける
- 節足動物門・軟体動物門・植物界!(分類について)
それぞれの発表について、聞いて面白がるだけじゃもったいない!ということで、帰った後にぜひ深めてください、という話をしたのです。
こうして7時間にも及ぶ伝道師になろうは無事幕を閉じました。
終了後、嬉しい感想ツイートがたくさん届きました!
とても楽しかったです!いつまでも話していたい素敵な空間でした!ありがとうございました! #伝道師になろう
— tsujimotter (@tsujimotter) 2016年9月18日
#伝道師になろう 日曜数学会から派生したイベントなのに、いつのまにやら進化(変態)して、派生元を凌駕する内容になっててビビる。
— キグロ@10/1日曜数学会 (@kiguro_masanao) 2016年9月18日
全日程(延長戦含)終わって帰宅中。知らない世界を知る、新しいものごとの捉え方を知る、そうすると身近な世界が二重三重に広がっていくなぁなどと感じた一日でした。ありがとうございましし! #伝道師になろう
— スパナ@ウユニ写真は画像欄へどうぞ (@supana1991) 2016年9月18日
当日のツイートまとめはこちら
正直、第2回と第3回の伝道師に関しては、終わった後に「もっとこうすればよかった」といろんなことを後悔して、素直に「楽しかった!!」と思うことができずにいたのですが、今回に関しては、100%楽しかった!!!!!
準備にかけた熱量がそのまま、会の結果に反映されました。
たくさん考えて、気を配って準備をしたら、その分だけ最高な会になる。
これはどのイベントでもそうだと思うのですが、イベントの主催者は、結構いろんなことで悩んだりしています。そこで、問題から逃げずにしっかり考えたのがよかったのかなあと。
まるで一人で考え抜いたかのように書きましたが、もちろんそんなことはありません。笑
今回の伝道師の企画を立てていく段階で、たくさんのものに影響を受けました。一番大きく影響されたのはこちらの本。
https://www.amazon.co.jp/ニコニコ学会βのつくりかた―共創するイベントから未来のコミュニティへ-江渡浩一郎/dp/484591591X
イベント運営の手順が詳細にわたって書いてある本。想定している規模が全然ちがうので、参考にできるところだけ吸収したのですが、それでも大変ためになった本でした。
ちなみにこの本、第1章の一番初めに書いてあることが「まずは1人のパートナーを探そう」だったので、最初に読んだときにギクリとしました。笑
伝道師も、いい加減1人でまわすのは限界な規模になってきたし、そろそろスタッフを募集しようかなあ。
他にも
・実際にニコニコ学会βのサマーキャンプに参加したこと
たくさんの刺激的な話を聞くことができました
・日曜数学会とコラボ開催させてもらったこと
一緒に運営をやって、色々と勉強になりました
・「伝道師になろうのこれから」についての相談をきいてもらったこと
特に綾塚さん、tsujimotterさん、大仏さんには本当にお世話になりました!
などなど、周りの方にたくさん助けられたことがたくさん。 自分が恵まれた環境にいることを実感せざるを得ません!!!最高に幸せだ!!!みなさん、本当にありがとうございました。
最後に、次回の告知をして締めます。
10月30日(日)@日比谷図書館
参加費無料
赤字覚悟ですよ。赤字にしかなりません。でもやります。
投げ銭にしますが、強制とかは全くしないので!!!隅っこのほうにさりげなく箱置いとく感じにします。伝道師になろうを気に入っていただけたら、ちょこっと入れていただけると嬉しいです、くらいの感じの投げ銭にします。
申し込み開始は9月27日(火)にします。ちょうど1週間後ですね。発表希望はたくさん集まったら抽選にします。次回は60人まで参加可能だし、参加無料だし、みなさんお誘いあわせのうえ、是非ご参加ください!!!
次回はね、まじでお金がないから「低予算伝道師」です。お菓子でも持ってきてもらおうかと思ったけど、さすが区立施設、飲食禁止なのです(笑)。蓋つきの飲み物ならOKらしい。これは休憩をたくさんとる必要がありそうだ。
ごめんなさい、どうしても日比谷図書館で開催したかったの!!!!!!
しかも「伝道師になろう」という名前をみた公務員さんは絶対利用許可くれないだろうと思ったので「視点集め」という名前で申し込んだりもしましたww みなさん、次回は伝道師になろうじゃなくて視点集めですよ!!
……ということで、最後になりましたが、今回参加してくださったみなさん、参加してないけど興味津々だったみなさん、本当にありがとうございました!
これからも伝道師になろうと狐をどうぞよろしくおねがいします。仲良くしてね